安全大会での講師起用のポイントと注意点

建設業の安全大会において、外部講師の起用は参加者の安全意識向上に大きな影響を与えます。本稿では、効果的な講師選定のポイントと、起用時の注意点について解説します。適切な講師選びが、安全大会の成功と労働安全衛生の向上につながることを理解しましょう。

講師起用の意義

安全大会での外部講師起用には、以下のような意義があります。

• 専門的知識や最新情報の提供
• 新しい視点からの安全啓発
• 参加者のモチベーション向上

講師起用のポイント

テーマに適した専門性

以下のようなテーマ・専門性を兼ねているかを検討材料にすることがおススメです。

• 建設業の特性を理解している講師
• 最新の安全技術や法令、または著名人や文化人など多彩な分野に精通した専門家
• 実務経験豊富な実践者

成功事例

建設株式会社では、元労働基準監督官を講師に招き、法令遵守の重要性について講演を実施。参加者の法令理解度が大幅に向上し、是正勧告件数が減少しました。

講演スキルと実績

講師を起用する際は、講演自体のスキルも重要なポイントです。

• わかりやすい説明力と飽きさせない講話技術
• 聴衆を引き付ける話術
• 過去の講演実績と評判

参加者層との適合性

参加者層に応じてた講師の選定を行いましょう。

• 経営層向け：経営戦略に纏る内容や従業員管理に関することなど
• 現場監督者向け：リスクアセスメントと安全管理技術
• 作業員向け：日常的な安全行動と意識改革、健康管理に係ること

成功事例

B工業では、参加者の階層別に異なる講師を起用。それぞれの立場に応じた内容提供により、全社的な安全意識の向上につながりました。

企業の安全方針との整合性

自社の文化や方針を加味した講演が可能な講師もおススメです。

• 自社の安全文化や方針を理解している
• 企業の課題に対応したメッセージを発信できる

インパクトのある内容

読み聞かせ方式ではなく、参加者を飽きさせないような工夫も必要です。

• 具体的な事例や統計データの活用
• 視聴覚資料の効果的な使用
• 参加型要素の導入（質疑応答、簡単なワークショップなど）

講師起用時の注意点

十分な事前打ち合わせ

打ち合わせ不足は講演の質を下げかねません。事前に以下3点を共有しておきましょう。

• 企業の安全方針や課題の共有
• 参加者の属性や期待される成果の明確化
• 具体的な講演内容とタイムスケジュールの確認

適切な講演時間の設定

参加者力を維持するため、講演時間は60分～90分程度とし、質疑応答の時間確保も行いましょう。

講師の中立性確保

例えば、特定の製品や技術の宣伝にならないよう講演内容には注意しましょう。
また、政治的・宗教的な偏りがないかの確認も必要です。

特殊なケースでの講師起用

特殊な背景やケースを持つ講師の起用もおススメです。

災害体験者や遺族

このような人を講師として起用すると、強いメッセージ性と説得力を持たせることができます。

成功事例

建設では、労働災害の被災者を講師として招聘。リアルな体験談が参加者の心に深く響き、安全意識が大きく向上しました。

他業界の安全専門家

新しい視点からの安全アプローチをすることが可能です。
ただし、事前に建設業との違いを踏まえ、内容の調整が必要です。

AI・IoT専門家

「最新技術の安全管理への応用」をテーマにした講演など、トレンド感のある話題も取り入れるのもおススメです。

オンライン講演への対応

コロナ禍以降オンラインでの講演も増えています。
ただし、オンライン講演時は以下の点に注意が必要です

• 講師のオンライン講演スキルの確認
• 通信環境のテストと安定性確保
• 参加者の集中力維持のための工夫（インタラクティブな要素の導入など）

安全大会での適切な講師起用は、参加者の安全意識向上と安全文化の醸成に大きく貢献します。テーマに適した専門性、優れた講演スキル、参加者との適合性、企業方針との整合性、そしてインパクトのある内容を備えた講師を選定することが重要です。
また、十分な事前準備、適切な講演時間の設定、中立性の確保、緊急時対応など、様々な注意点にも配慮が必要です。
さらに、講演後のフォローアップを通じて、その効果を最大化し、継続的な安全活動につなげることが大切です。
これらのポイントを押さえた講師起用により、より効果的な安全大会の実現と、建設業界全体の安全レベル向上を目指しましょう。