【LiveAir Youtube】保護具着用管理責任者教育にまつわる疑問、質問を大原先生にぶつけてみました。

保護具とは何ですか?どんな種類がありますか?

**保護具**とは、労働者が作業中に事故や危険、有害物質などから身体を守るために装着する器具や衣類のことです。労働安全衛生法および関連規則では、特定の作業や環境下で、事業者が労働者に対して保護具の使用を義務付ける場合が定められています

労働安全衛生法や労働安全衛生規則で定められている主な保護具には

  • 保護帽(作業帽)
  • 保護衣(防護服、化学防護服など)
  • 保護手袋(化学防護手袋、絶縁用手袋など)
  • 保護長靴・履物
  • 防じんマスク、防毒マスク(呼吸用保護具)
  • 保護眼鏡(ゴーグルなど)
  • 耳栓(聴覚保護具

「保護具着用管理責任者教育」とは、どんな内容の研修ですか

作業現場で化学物質のリスクアセスメント結果に基づき、労働者に適切な保護具の選定・使用・管理を行う責任者を養成するための法定教育です。2024年4月から選任が義務化され、厚生労働省が定めたカリキュラムに基づき実施されます

教育の目的

  • 保護具の正しい選択・使用・保守管理の普及
  • 労働者の安全と健康の確保
  • 保護具管理責任者として必要な知識と技能の習得

この教育は誰が受けなければならないのですか?

  • 保護具着用管理責任者になろうとする者
  • 既に一定の資格(衛生管理者、作業主任者など)を有する者も受講が推奨されます

保護具は義務として着用しなければならないのですか?

2024年4月から、健康障害リスクが明らかな化学物質を取り扱う業務では、事業者は労働者に対して適切な保護具を着用させることが義務となりました。事業者はSDSを確認し、該当する物質を扱う場合は必ず保護具を備え、着用を徹底させる必要があります。

労働安全衛生法における「保護具」の定義はどうなっていますか?

労働安全衛生法における「保護具」とは、作業中の事故や危険、有害物質、騒音、病原体などから労働者の身体を守るために装着する用具全般を指し、作業内容やリスクに応じて事業者が適切なものを選定・使用させることが義務付けられています

「保護具着用管理責任者」と「安全衛生責任者」は別物ですか?

「保護具着用管理責任者」と「安全衛生責任者」は、制度上も職務内容も明確に異なる別の役割です。

保護具着用管理責任者は、化学物質のリスクアセスメントの結果、労働者に保護具(防じんマスク、防毒マスク、安全メガネ等)を使用させる必要がある場合に、保護具の適切な選定・使用・保守管理を行う責任者です

安全衛生責任者は、建設業や造船業で、現場の安全衛生管理全般を担う役割です。元請が選任する「統括安全衛生責任者」と連携し、下請事業者ごとに選任されます。職務は現場の安全衛生管理計画の策定・実施、災害防止、現場間の連絡調整など多岐にわたります。

教育を受けると何か資格証が発行されますか?

教育修了証が発行されます。

保護具を適切に選ぶには、どのような基準があるのでしょうか?

  1. SDS(安全データシート)で化学物質の有害性を確認
  2. 作業内容やリスクを評価し、どの部位を守る必要があるか判断
  3. 必要な保護具の種類(手袋、衣服、眼鏡など)を選ぶ
  4. 化学物質に合った性能・材質、JIS規格適合品を選定
  5. 迷った場合はメーカーや専門家に相談
  6. 選んだ保護具が実際の作業に合うか確認し、必要に応じて手順書も見直す

厚生労働省のマニュアルも参考に、適切な選定と管理を行うことが大切です。

保護具の着用を従業員が拒否した場合、管理責任者としてどう対応すべきですか?

  1. 着用の必要性やリスクを丁寧に説明し、指導・注意を行う。
  2. 就業規則やルールを再度周知し、違反時の処分も明確に伝える。
  3. 改善がない場合は、段階的な懲戒処分を検討する。
  4. 事業者の安全配慮義務を果たすため、着用徹底は必須。
  5. 解決が難しい場合は、専門家や弁護士に相談する。

慎重に段階を踏んで対応することが重要です。

保護具が不適切に使われていた場合、事故が起きたときの責任はどうなりますか?

保護具が不適切に使われていた場合、事故が発生すると、事業者や管理責任者は安全配慮義務違反として損害賠償責任や刑事責任などを問われる可能性が高いです。労働者にも過失があれば、その分賠償額が減る場合もありますが、事業者側の教育・監督義務が不十分であれば、主な責任は事業者にあります

使い捨ての保護具と繰り返し使える保護具の管理方法の違いはありますか?

使い捨て保護具は「使い切り・即廃棄」、繰り返し使える保護具は「点検・洗浄・保守・適切保管」が管理の基本です。どちらも、破損や汚染があれば即時交換が必要です。

PPE(Personal Protective Equipment)という言葉は、保護具と同じ意味ですか?

はい、「PPE(Personal Protective Equipment)」は日本語の「保護具」や「個人用保護具」と同じ意味です。
PPEは、手袋、マスク、ガウン、フェイスシールド、ゴーグルなど、作業者や医療従事者などの身体を危険や感染から守るために着用する装備全般を指します。
分野によっては「個人防護具」とも呼ばれますが、いずれも「保護具」と同義です

保護具の「選定」「着用指導」「保守管理」のポイントを簡単に教えてください。

選定

  • 作業内容や取り扱う物質、リスクを正確に把握し、それに合った保護具を選ぶ
  • 耐透過性や耐久性など性能データを確認し、JIS規格等に適合した製品を選定
  • 必要に応じてメーカーや専門家の助言を活用する

着用指導

  • 保護具の必要性や正しい使い方、着脱方法、注意点を具体的に説明・教育する
  • なぜ着用が必要か、着用しない場合のリスクも伝え、動機づけを行う
  • フィットテストやシールチェックなどで、適切な装着状態を確認する

保守管理

  • 使用前後に破損や汚れがないか点検し、劣化・損傷があれば交換
  • 定期的な清掃・メンテナンス、適切な保管を徹底
  • 使用記録や点検記録を残し、交換部品も常備する

ポイント:保護具は「選定」「指導」「管理」のすべてが揃って初めて安全が確保されます。

熱中症対策の空調服や冷却ベストも保護具に含まれますか?

もちろん保護具に含まれますが、化学物質管理における「保護具着用管理責任者」の教育とは関係ございません。

現場で保護具を正しく装着しているかを確認する方法にはどんなものがありますか?

  • 目視による確認
    管理者や保護具着用管理責任者が現場を巡回し、作業者が保護具を正しく装着しているか直接目で確認します
  • セルフチェック
    作業者自身が鏡を使い、指差し呼称などで自分の装着状態を確認する方法があります。
  • シールチェック
    特に呼吸用保護具では、装着後にシールチェック(マスクの密着性確認)を実施し、正しく装着できているかを確認します
  • 点検リストやチェックシートの活用
    装着項目をリスト化し、管理者や作業者がチェックシートで確認・記録します
  • 教育・訓練時の実技確認
    保護具の着脱や装着方法について、実技講習で正しい装着を指導し、その場で確認します

労働災害発生時、保護具の着用の有無が調査にどのように関係しますか?

労働災害が発生した際、保護具の着用の有無は事故原因の調査や責任の判断に大きく関係します。

  • 調査時の確認事項
    労働基準監督署などの調査では、事故発生時に必要な保護具が適切に選定・着用・管理されていたか、また保護具着用管理責任者がその職務を果たしていたかが確認されます
  • 着用していなかった場合の影響
    必要な保護具が着用されていなかった、または不適切に使用されていた場合、事業者や管理責任者の「安全配慮義務違反」とされ、労働安全衛生法違反や損害賠償責任が問われる可能性が高くなります
  • 着用の有無が評価に与える影響
    適切な保護具の着用がなされていれば、災害の発生や被害の拡大を防げたかどうかが重要な評価ポイントとなります。逆に、保護具の不着用や管理不備があれば、災害防止措置が不十分だったと判断されます

まとめ
労働災害発生時には、保護具の着用状況が事故原因や責任の有無を判断する重要な調査項目となり、着用していなかった場合は事業者側の責任が重く問われることになります。

保護具の購入費や更新費用は企業負担ですか?従業員の自己負担でもよいのですか?

保護具の購入費や更新費用は、原則として企業(事業者)が負担する義務があります。
労働安全衛生法や関連ガイドラインでは、労働者の安全や健康を守るために必要な保護具(ヘルメット、安全靴、マスクなど)は、事業者が提供し、定期的な点検や交換も含めて管理することが求められています

外注先(下請け業者)に対しても保護具着用を指導・管理する責任はありますか?

2025年4月施行の労働安全衛生法・規則の改正により、一人親方(個人事業主)に対しても請負人は保護具着用の「周知義務」を負うことが明確になりました。

義務の内容

  • 請負人は、一人親方が作業する場合でも、必要な保護具の着用やその使い方、性能について「分かりやすく周知」しなければなりません。
    • 周知方法は、表示(掲示)、書面の交付、口頭説明などがあり、説明した記録を残すことも推奨されています。
    • 実際の作業指示や強制まではできませんが、「保護具が必要な場所・作業内容・使い方」を明確に伝えることが義務となります。

背景とポイント

  • これまでは労働者のみが対象でしたが、法改正により「一人親方」や「下請事業者」も保護対象に追加されました。
    • 一人親方が保護具を着用せず事故が起きた場合、請負人が必要な周知や説明を怠っていれば、責任を問われる可能性があります。

まとめ
一人親方に対しても、請負人は保護具の着用や使い方を「周知」する法的責任があります。実際の着用義務や管理までは及びませんが、必要な情報提供と説明は必須です。

保護具の管理台帳や点検記録は、法的に義務づけられているものですか?

化学物質のリスクアセスメントにの結果と、ばく露低減措置の内容等は、関係労働者に周知するとともに、記録を作成し、次のリスクアセスメント実施までの期間保存することが義務付けられています。

保護具の着用義務を徹底するための社内ルールづくりには、どのような工夫が有効ですか?

明文化・マニュアル化、教育訓練、点検・記録、安全意識の醸成、現場参加、着用状況の確認と是正――これらを組み合わせて運用することが、保護具着用義務の徹底に有効です

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